2010年10月2日土曜日

Part・2

 摩天楼の街シカゴから、建築・インテリアを中心にレポートしていきたいと思います。

              イエローストーン国立公園にあるオールド・フェイスフル・イン


 シカゴレポートの第2回目は、シカゴでの住居探しの様子についてのレポートです。


シカゴの住宅・不動産について

アメリカの住居は、大きく分けて3種類あります。1つは郊外の一軒家、もう一つはタウンハウスと呼ばれる2階建ての長屋タイプのもの、そしてマンションです。
マンションには、全室賃貸タイプと、分譲マンションのお部屋をオーナーが貸しに出しているコンドミニアムと呼ばれるものがあります。
我が家の場合、主人の勤務の便を考えて、ダウンタウンのマンションに的をしぼって探し始めました。
 日本では、家を探す場合、住みたい地域にある不動産業者を頼ることが多いですが、アメリカの賃貸マンションの場合には、マンションの中にleasing officeと呼ばれる管理会社が入っていて、自分たちで、住みたいマンションのleasing officeをせっせと訪ねて回ると、不動産業者に仲介手数料を払うことなく部屋を決めることができます。


それでは部屋探しのレポートです

 私たちは、シカゴ到着が4月30日(金)だったので、時差ぼけでぼーっとしている頭を抱えながら、到着翌日から家探しを開始しました。
シカゴはなんと言っても摩天楼シティです。
街中には40階から60階建ての高層ビルがぎっしりと建っています。
しかしアメリカの新学期は9月なので7、8月が引っ越しシーズン、この時期いい物件はなかなか空いていません。そして英語も私の頭の上を素通りです。

 みなさんはアメリカのマンションの内装ってどんな感じだと思われますか?
私は、テレビや映画の見すぎだったのかもしれませんが、日本のマンションよりカラフルで、間取りもバラエティに富んでいるに違いない!と半ば断定していました。
でも実際に部屋を見に行ってびっくりです。床も壁も天井もお風呂場さえも、とにかく真っ白なんです。目がチカチカするくらいです。
後から知りましたが、壁は自分の好きな色に塗っていいそうです。


 
 他にもいくつか日本と違う点がありました。
1つ目は照明器具です。日本の場合は、部屋の天井には直接照明が必ず付いていますが、アメリカにはありません。キッチンとダイニングと収納、そしてバスルームにのみついています。
部屋の照明は自分でフロアスタンドなどを買ってこなくてはいけないのです。

2つ目は洗濯機・乾燥機が必ず部屋に備え付けられているわけではない点。洗濯・乾燥機がない場合は、ランドリールームに行かなくてはなりません。

3つ目は浴槽が浅いことです。深さ30cm程度しかありません。

 どこのマンションも、ほとんどが同じような間取りで、しかも部屋中真っ白。
それならば、主人の勤務先まで遠くなく、洗濯・乾燥機が備え付けてあり、南向きの部屋、この条件で探すことにしました。

 探し始めて2日目、なんとこの条件にぴったりのいいお部屋が見つかったのですが、主人の会社に相談する必要があったため、翌日返事をすることにして、マンションを後にしました。
しかし翌日電話すると「もう借り手が見つかった」との返事。
良い物件はやはりすぐ決まってしまうようです。
手付金を払っておけばよかったとちょっと後悔しました。

 慣れない土地、慣れない言葉での家探しは大変です。
アメリカのシステムもまだ分からずイライラがつのります。しかし数日後、先日のマンションの管理会社から「他に近日中に空く部屋がある」という連絡があり、訪ねました。「3週間後には入れる」というので、契約書にサインをして帰りました。3週間のホテル暮らしは長いけど、家が決まったので、夫婦でほっとしたのもつかの間・・・数日後、またそのマンションから連絡があり「実はその部屋が空かないことになった」と言われ・・・契約はなんだったのか!と憤りを通り過ぎあきれてしまいました。
アメリカではこういうことがとても多いのです。難民生活はまだ続くのでした。

 そして、また数日後、同じ管理会社から連絡があり、「さらに2週間後に空く部屋がある。しばらくの間、マンションの中にあるゲストルームに住んで、部屋が空くのを待ってはどうか」と提案されました。ゲストルームに滞在する方が、ホテルの宿泊費より安く済むということで、そうすることに決めました。
結果的には今まで提案された部屋の中で最も上階の景色のいい部屋に決まりました。
家探しを始めて2週間後のことです。本当の部屋への引っ越しは、約一カ月後の6月10日です。あぁ長い。


次回は、引っ越しとインテリアショップ巡りについてのレポートです。




今日の建築物:オールド・フェイスフル・イン(OLD FAITHFUL INN)

写真の右手に見えるのが間欠泉です。
 



 今年の夏休みは、アメリカらしいことに挑戦しようということで、車でまわるロッキー山脈を企画しました。アメリカ、カナダ側両方からロッキーを楽しみ、シカゴから往復7000キロを走破しました(主人ですが)。


                                                    間欠泉の噴き出したところ。

今日取り上げるのは、モンタナ州にあるイエローストーン国立公園内のオールド・フェイスフル・インというホテルです。
イエローストーンで見るべきものの一つにオールド・フェイスフルという名前の間欠泉があります。名前は、間欠泉が、およそ65分間隔で忠実に噴き出すことに由来しています。
その間欠泉の前に堂々と建っているのが、オールド・フェイスフル・インです。


吹き抜けロビーの様子 




巨大な暖炉と煙突


シアトルの建築家ロバート・リーマーによって設計され、1903年の晩夏から建設を開始し、1904年6月にオープンしました。
現存する丸太小屋建築の中で世界最大のものです。

ホテルに一歩足を踏み入れると、7階ぶち抜きのロビーの吹き抜けに圧倒されます。
まずは、ロビーの支えの中心となる高さ80フィート(約24m)、重量500トンの巨大な流紋岩の暖炉と煙突の建設から始められました。
ロビーの建設から始められたのは、イエローストーンの冬の厳しい寒さから労働者を守るためであったそうです。数回の増築を重ね現在の規模になっています。

  1959年に起こった地震にも負けず、1988年の大火災も耐え、100年の歴史を刻みました。
2004年には100周年を記念して、数百万ドル規模の大改修を行い、電気・配管・暖房システムのグレードアップだけでなく、現在の建築基準を満たした主要構造部分の改築も行われました。
可能な限り、当時の材料を再利用し、1904年当時のリーマーのオリジナルデザインに近付けています。
  1987年には国の歴史的建造物に指定されました。


                                                        外部デッキとレストランの様子

人気の高いホテルなので、残念ながら泊まれませんでしたが、じっくり見学しました。
まず外観を見て、雪の多い山の中に建てられた木造建築は、国が違えど似ているなあと感じました。
五箇山や白川郷の合掌造りと似ていませんか?内部は、100年前のデザインとは思えないほどモダンです。外部から入る日光を上手に使い、木のぬくもりが感じられます。

   私がアメリカの国立公園で過ごしてみて驚いたことの一つに、“山なのに快適”ということがあります。
イエローストーンは年間300万人が訪れる大観光地ですが、あまり人の多さを感じさせない、ほどよい余裕が、宿泊施設、食事施設、アクティビティどれを取ってもあり、トイレももちろん水洗です。

今まで山は不便と思っていましたが、あまりに快適なので、動物や美しい自然を見て本当に癒されました。
それでも、開発は必要最低限であり、1988年に大規模な山火事が起こり、公園の36%が焼け野になった時も、積極的な消火活動も行わず、その後の回復も自然の力に任せています。
 22年経った今では、立ち枯れの木もまだ残っていますが、若木もたくさん生え、緑が広がっています。

文章:山岸絵理  2010年09月28日

5 件のコメント:

  1. 山岸さん、シカゴレポ(超大作)ありがとうございます。

    部屋探し、想像以上に大変でしたね。
    困難を乗り越え、無事定住できて良かったです。

    この前マンションのガス止まったってききましたが、
    大丈夫ですか?翌日、復旧しましたか??
    アメリカの住宅の熱源って、電気なのかと勝手に思っていましたが、
    「オールガス」っていうのが多いんですかね?

    それにしてもアメリカのマンションが、そんなに真っ白だとは、
    知りませんでした。
    でも、自分の好きな色に塗れるって、楽しいですよね。
    山岸さん、どんなのに塗ったんですか?

    それと、オールド・フェイスフル・インっていうホテルがある国立公園、
    アメリカの大自然を満喫できそうで、素敵ですね!
    野生動物って、近くで見れるんですか?シカとかリスとか。
    ライオンとかは、全然遠くからでいいですけど・・・

    次回のシカゴレポ~インテリアショップ編も楽しみにしています。
    シカゴの冬も激寒(氷点下20度)だそうなので、
    風邪とか引かないように、暖かくしてくださいね・・・

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  2. コメントありがとうございます。
    アメリカのマンションの熱源は電気の所が多いのですが、我が家では珍しくガスでした。
    マンションの大元のメーターをチェックしにきたガス会社の人が、ガス漏れに気づき、マンション全館ガス停止状態になりました。どこから漏れてるのか付きとめて修理するのに1週間かかるという連絡があり、食事はどうするのか?と思いましたが、食事は外に食べに行けばいいにしても、お風呂はどうするのか??銭湯もないのに・・・とがっくり。このほか洗濯の乾燥機も、冷暖房もガスで動かしているので、本当になんにも出来なくなりました。
    幸いにして、3日で解除されました。おまけにガスは漏れていなかったそうです。は?

    我が家は白いままです。次回写真を載せますね。

    イエローストーンで見られる動物は、リス、シカ、バイソン、クマ、オオカミです。私はリスとシカしか見れませんでした。動物にはあんまり近づいてはいけないことになっています。
    ライオンは寒いところにはいないんじゃ・・・

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  3. eriさんのお部屋探しの大変さが良く伝わりました。
    やはり、アメリカと日本では全然文化が違うのですね。
    いつか話ししていた防音対策は大丈夫だったでしょうか?
    オールド・フェイスフル・インも素敵です!圧巻の大空間と大きな暖炉があってこれもまた、日本とはスケールの大きさにびっくりです@@!
    また、次回のレポートも楽しみにしています。

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  4.  コメントありがとうございます。音問題については、半分解決といった状態でしょうか。次回のレポートではその辺のことも織り交ぜて書きたいと思います。
     今から100年と少し前、アメリカやカナダでは大自然の中にたくさんのリゾートが作られました。(山岳リゾート)もちろん、ここで過ごしていたのは当時のお金持ちだとは思いますが、建造されているホテルも素晴らしいものばかりです。オールド・フェースフル・インは木造ですが、カナダ側のロッキーには、石造りのヨーロッパのお城のようなホテルがたくさんあります。アメリカは国土が広いせいか、人が大きいせいか、なんでもいちいち大きいです。

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  5. 確かに、なんでも大きいかもしれませんね。
    アメリカではないけど、オーストラリア行った時に、マックのハンバーガーが日本とは全然大きさが違って1個で満腹でした@@;
    これにポテトとコーラ付けたら、、、そりゃ体も大きくなりますわね・・・

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