2010年11月7日日曜日

Part・3

摩天楼の街シカゴから、建築・インテリアを中心にレポートしていきたいと思います。

                                           シカゴ川にかかる橋が跳ね上ったところ


シカゴレポートの第3回目は、新居への引っ越しと家具探しです。


引越しまでのまだまだ長い道のり

5月も半ばになると、シカゴにも春が訪れて観光客が街にあふれるようになってきました。私が泊まっていたホテルも大賑わいです。
マンションとの契約を結んだのは5月14日(金)、そしてマンションのゲストルームへの入居日は18日(火)、あと数日の辛抱です。

ところが、ホテルとの行き違いで宿泊延長がうまくいかず、15日(土)に追い出されてしまいました。観光シーズンに突入してしまったシカゴのホテルは、どこもいっぱいで宿泊料も上昇気味。
私たちは必死で新しいホテルを探しました。そして、今まで泊まっていたホテルのすぐ近くに空き部屋を見つけることができました。
宿泊料はかなり上がってしまいましたが、ラファエロというとってもおしゃれなホテルでした。

18日になりました。今日はゲストルームへの引っ越しです。

チェックアウトは12時で、主人がその少し前に戻ってくることになっていましたが、なかなか来ません。私はお茶を飲みながら、のんびり読書を決め込んでいました。
そしたら主人が汗だくで現れて、ホテルでボヤ騒ぎがあり、近隣の道路も車両進入禁止、エレベーターも使えなくなっているとのこと。
チェックアウトの時刻が迫る中、私たちは13階から大量の荷物を階段を使って、必死になって下ろしました。
もちろん火事なんてありません。それに部屋にいた時には、警報器の音も聞こえませんでした。
もし本当の火事だったら、私、燃えてたんじゃ・・・ビルに住むことの意味を身をもって感じました。

なんとか無事にゲストルームに入れました。ここでおよそ3週間を過ごします。


家具、生活用品探し

 部屋が決まったので、これからは家具探し、生活用品探しの開始です。
インテリアショップを巡りながら私は、日本人とアメリカ人の家具や生活雑貨に対するニーズの違いを感じました。
日本人は体も小さく家も小さいので、小さくて軽快なデザインのものを好みますが、アメリカには大きくて重くて頑丈なものが多いです。

食卓一つとってみても、小さめのものでも1500×900、主流は1800×900で、さらにエクステンションして2400×900・・・。二人で持っても腰が痛くなるくらいに大きくて重いです。
そしてお値段も1500ドル。

ソファも5~6人がかけられるコーナーソファが多く、日本では主流の2人がけソファはあんまり見当たりません。3人掛けで1000ドル・・・。
ベッドは、クイーンサイズで、フレームが1000ドルから1500ドル、マットレスも1500ドル。

高い・・・全体的に予算オーバー。アメリカに移住するんだったら、買いたいですが、2年という任期が決まっている私たちには、そんなに出せません。
そして、ちょっと途方に暮れる日々。


         サンクスギビングデーのためのテーブルコーディネートがしてある食卓 
                          ―Pottery Barn―


                  サンクスギビングデーのためのテーブルコーディネートがしてある食卓 
                         ―Crate&Barrel―


アメリカンなソファとベッド 
                           ―Crate&Barrel―


    6人掛けのコーナーソファ(ソファベッド仕様) 
                           ―Room&Board―
 


気を取り直して、食器探しをすることにしました。私は手作り感のする食器や、イッタラに代表されるような北欧食器が好きです。でも、アメリカにはそんなテイストのものはありませんでした。
早く揃えたいのに、買いたいものがない。ここでもまた壁に激突。

私は、アメリカに来る前には、日本はアメリカからの影響をあらゆる面で受けているから、同じようなものを売っていると思っていましたが、アメリカという国はアンチヨーロッパで、日本は“モノ”に関して言えば、ヨーロッパよりだったんだということを知りました。

私の住んでいるシカゴは中西部と呼ばれる地域で、アメリカらしさが最も色濃く残っている場所なんだそうです。同じアメリカでもニューヨークでは、もっと華奢なデザインのものが売られているそうです。


アメリカはなんでもセット販売

 アメリカでは、なんでもセット販売です。たとえば我が家の鍋ですが、大きさや深さ違いのフライパン3つと、片手なべ3つ、パスタ用の深鍋1つ、これがセットで100ドルくらいです。
鍋を1つだけ買いたいと思うと、ばら売りをしているお店をあっちこっち探しまわらなくてはいけないし、割高です。

お皿についてもそうです。ディナープレート、サラダプレート、ボウル、マグカップの4人用セットで50ドル。1つずつ買えるものと買えないものがあります。
アメリカのほとんどの食器は陶器製です。白が全体の50%以上を占めています。
日本で見かけるノリタケやナルミのような磁器は、結婚するときに、ディナープレート、サラダプレート、ボウル、カップ&ソーサーのセットを、8人分とか10人分購入するみたいで、カップ&ソーサーだけ欲しいと思っても手に入れにくいシステムになっています。

 磁器のお皿がセット販売されている様子



インテリアショップ

先に紹介した3店はアメリカの代表的なインテリアショップで、北米地域(アメリカ+カナダ)でチェーン展開されています。
アメリカのインテリアショップの特徴は、家具だけではなく、それにまつわるキッチン用品、バス用品、寝具などがお店で上手にコーディネートされて売られている点です。
そういった小物が季節によって入れ替わるので、インテリアショップはいつも人でいっぱいです。
しかも男性のお客様も多いことに驚かされます。

1)Pottery Barn・・・サンフランシスコ発のショップで、ヨーロッパ製の陶器も数多く取り扱っています。キルティングのカバーがかかっている掛け布団やクッションなどもかなりかわいいです。




 2)Crate&Barrel・・・シカゴ発で、北米地域に170店舗以上を構えるインテリアショップです。無垢の木を多く使った頑丈なデザインの家具とキッチンまわりの細々とした物やしゃれた食器やデコレーショングッズを取り扱っています。家のすぐ近くにあるので、私は足しげく通っています。





 3)Room&Board・・・ミネソタ発のショップで全米に11店舗あります。
 商品のおよそ85%をアメリカ国内の小さな家族経営の工場で生産しています。
アメリカンなデザインから北欧風のものまで数多く取り揃え、デザイナーズ家具も取り扱っています。



次回は、救世主現ると我が家の様子についてレポートします。



今日の建築物:シカゴ川にかかる橋

                    シカゴのダウンタウンの地図

 まずダウンタウンについて地図で説明します。
右手に見えるのがミシガン湖、ミシガン湖から流れ出ている川がシカゴ川で、北の支流、南の支流に分かれます。南の支流はミシシッピ川と合流し、最後はメキシコ湾に流れ出ます。ダウンタウンはミシガン湖と南北の支流に挟まれた地域にあります。

シカゴ川より南の地域は、シカゴ名物の高架鉄道がループの形に走っているため、ループ地区と呼ばれ、初期の摩天楼建築(約120年前~)が数多く残っており、最もシカゴらしい地域です。
また、行政、金融の中心でもあります。

                  シカゴ川を挟んで上部がループ地区


高架鉄道

シカゴ川より北の地域は、レポート第一回目で紹介したジョン・ハンコック・センターなどの、比較的新しい建物の多い地域で、マグニフィセント・マイルと呼ばれるミシガン通りは、両側にショップやデパートが軒を連ねるショッピングゾーンです。

私はこちら側に住んでいます。


               お買い物天国ミシガン通り、秋は菊の花が満開。

シカゴ川はもともと、ミシガン湖に流れ込んでいましたが、シカゴ経済の急成長に伴い湖の水質汚染が深刻になっていました。
そこで1900年、川の向きを逆流させ(シカゴ川還流)、今ではミシガン湖から流れ出る川となっています。シカゴ川は全長251km、そして38の可動橋が架かっています。

冒頭の写真は、船が通るために橋が跳ね上がった所です。私は10月の初めに遭遇しました。冬に備えてミシガン湖に停泊させていた多くの船を引き揚げる為、ミシガン湖に近い橋から順に次々と橋が跳ね上がっていく様子は圧巻で、思わずシャッターを切りました。しかし、主要な道路は通行止めになってしまうので、橋が戻るまで30分程度、辛抱強く待たなくてはなりませんでした。


            ミシガン・アベニューに架かる橋。真ん中に継ぎ目が見える。




                                                                      文章:山岸絵理  2010年11月6日



2010年10月2日土曜日

Part・2

 摩天楼の街シカゴから、建築・インテリアを中心にレポートしていきたいと思います。

              イエローストーン国立公園にあるオールド・フェイスフル・イン


 シカゴレポートの第2回目は、シカゴでの住居探しの様子についてのレポートです。


シカゴの住宅・不動産について

アメリカの住居は、大きく分けて3種類あります。1つは郊外の一軒家、もう一つはタウンハウスと呼ばれる2階建ての長屋タイプのもの、そしてマンションです。
マンションには、全室賃貸タイプと、分譲マンションのお部屋をオーナーが貸しに出しているコンドミニアムと呼ばれるものがあります。
我が家の場合、主人の勤務の便を考えて、ダウンタウンのマンションに的をしぼって探し始めました。
 日本では、家を探す場合、住みたい地域にある不動産業者を頼ることが多いですが、アメリカの賃貸マンションの場合には、マンションの中にleasing officeと呼ばれる管理会社が入っていて、自分たちで、住みたいマンションのleasing officeをせっせと訪ねて回ると、不動産業者に仲介手数料を払うことなく部屋を決めることができます。


それでは部屋探しのレポートです

 私たちは、シカゴ到着が4月30日(金)だったので、時差ぼけでぼーっとしている頭を抱えながら、到着翌日から家探しを開始しました。
シカゴはなんと言っても摩天楼シティです。
街中には40階から60階建ての高層ビルがぎっしりと建っています。
しかしアメリカの新学期は9月なので7、8月が引っ越しシーズン、この時期いい物件はなかなか空いていません。そして英語も私の頭の上を素通りです。

 みなさんはアメリカのマンションの内装ってどんな感じだと思われますか?
私は、テレビや映画の見すぎだったのかもしれませんが、日本のマンションよりカラフルで、間取りもバラエティに富んでいるに違いない!と半ば断定していました。
でも実際に部屋を見に行ってびっくりです。床も壁も天井もお風呂場さえも、とにかく真っ白なんです。目がチカチカするくらいです。
後から知りましたが、壁は自分の好きな色に塗っていいそうです。


 
 他にもいくつか日本と違う点がありました。
1つ目は照明器具です。日本の場合は、部屋の天井には直接照明が必ず付いていますが、アメリカにはありません。キッチンとダイニングと収納、そしてバスルームにのみついています。
部屋の照明は自分でフロアスタンドなどを買ってこなくてはいけないのです。

2つ目は洗濯機・乾燥機が必ず部屋に備え付けられているわけではない点。洗濯・乾燥機がない場合は、ランドリールームに行かなくてはなりません。

3つ目は浴槽が浅いことです。深さ30cm程度しかありません。

 どこのマンションも、ほとんどが同じような間取りで、しかも部屋中真っ白。
それならば、主人の勤務先まで遠くなく、洗濯・乾燥機が備え付けてあり、南向きの部屋、この条件で探すことにしました。

 探し始めて2日目、なんとこの条件にぴったりのいいお部屋が見つかったのですが、主人の会社に相談する必要があったため、翌日返事をすることにして、マンションを後にしました。
しかし翌日電話すると「もう借り手が見つかった」との返事。
良い物件はやはりすぐ決まってしまうようです。
手付金を払っておけばよかったとちょっと後悔しました。

 慣れない土地、慣れない言葉での家探しは大変です。
アメリカのシステムもまだ分からずイライラがつのります。しかし数日後、先日のマンションの管理会社から「他に近日中に空く部屋がある」という連絡があり、訪ねました。「3週間後には入れる」というので、契約書にサインをして帰りました。3週間のホテル暮らしは長いけど、家が決まったので、夫婦でほっとしたのもつかの間・・・数日後、またそのマンションから連絡があり「実はその部屋が空かないことになった」と言われ・・・契約はなんだったのか!と憤りを通り過ぎあきれてしまいました。
アメリカではこういうことがとても多いのです。難民生活はまだ続くのでした。

 そして、また数日後、同じ管理会社から連絡があり、「さらに2週間後に空く部屋がある。しばらくの間、マンションの中にあるゲストルームに住んで、部屋が空くのを待ってはどうか」と提案されました。ゲストルームに滞在する方が、ホテルの宿泊費より安く済むということで、そうすることに決めました。
結果的には今まで提案された部屋の中で最も上階の景色のいい部屋に決まりました。
家探しを始めて2週間後のことです。本当の部屋への引っ越しは、約一カ月後の6月10日です。あぁ長い。


次回は、引っ越しとインテリアショップ巡りについてのレポートです。




今日の建築物:オールド・フェイスフル・イン(OLD FAITHFUL INN)

写真の右手に見えるのが間欠泉です。
 



 今年の夏休みは、アメリカらしいことに挑戦しようということで、車でまわるロッキー山脈を企画しました。アメリカ、カナダ側両方からロッキーを楽しみ、シカゴから往復7000キロを走破しました(主人ですが)。


                                                    間欠泉の噴き出したところ。

今日取り上げるのは、モンタナ州にあるイエローストーン国立公園内のオールド・フェイスフル・インというホテルです。
イエローストーンで見るべきものの一つにオールド・フェイスフルという名前の間欠泉があります。名前は、間欠泉が、およそ65分間隔で忠実に噴き出すことに由来しています。
その間欠泉の前に堂々と建っているのが、オールド・フェイスフル・インです。


吹き抜けロビーの様子 




巨大な暖炉と煙突


シアトルの建築家ロバート・リーマーによって設計され、1903年の晩夏から建設を開始し、1904年6月にオープンしました。
現存する丸太小屋建築の中で世界最大のものです。

ホテルに一歩足を踏み入れると、7階ぶち抜きのロビーの吹き抜けに圧倒されます。
まずは、ロビーの支えの中心となる高さ80フィート(約24m)、重量500トンの巨大な流紋岩の暖炉と煙突の建設から始められました。
ロビーの建設から始められたのは、イエローストーンの冬の厳しい寒さから労働者を守るためであったそうです。数回の増築を重ね現在の規模になっています。

  1959年に起こった地震にも負けず、1988年の大火災も耐え、100年の歴史を刻みました。
2004年には100周年を記念して、数百万ドル規模の大改修を行い、電気・配管・暖房システムのグレードアップだけでなく、現在の建築基準を満たした主要構造部分の改築も行われました。
可能な限り、当時の材料を再利用し、1904年当時のリーマーのオリジナルデザインに近付けています。
  1987年には国の歴史的建造物に指定されました。


                                                        外部デッキとレストランの様子

人気の高いホテルなので、残念ながら泊まれませんでしたが、じっくり見学しました。
まず外観を見て、雪の多い山の中に建てられた木造建築は、国が違えど似ているなあと感じました。
五箇山や白川郷の合掌造りと似ていませんか?内部は、100年前のデザインとは思えないほどモダンです。外部から入る日光を上手に使い、木のぬくもりが感じられます。

   私がアメリカの国立公園で過ごしてみて驚いたことの一つに、“山なのに快適”ということがあります。
イエローストーンは年間300万人が訪れる大観光地ですが、あまり人の多さを感じさせない、ほどよい余裕が、宿泊施設、食事施設、アクティビティどれを取ってもあり、トイレももちろん水洗です。

今まで山は不便と思っていましたが、あまりに快適なので、動物や美しい自然を見て本当に癒されました。
それでも、開発は必要最低限であり、1988年に大規模な山火事が起こり、公園の36%が焼け野になった時も、積極的な消火活動も行わず、その後の回復も自然の力に任せています。
 22年経った今では、立ち枯れの木もまだ残っていますが、若木もたくさん生え、緑が広がっています。

文章:山岸絵理  2010年09月28日

2010年8月12日木曜日

摩天楼の街シカゴから、建築・インテリアを中心にレポートしていきたいと思います。


ジョン・ハンコック・センターからの眺め。左に見えるのがミシガン湖。



 みなさんは、シカゴがどこにあるかご存知ですか? 
実は私ははっきりとは知りませんでした。
聞いたことはあるけど、どんな所?何が有名なの?とにかく大きな街なんだよね~
そんな程度の知識で、3カ月前にやってきました。
このブログは、私がシカゴでの生活を立ち上げ、街をさまよいシカゴ通になるまでの(なれるかな?)レポートです。

シカゴについて:

 シカゴは北米大陸の中心よりやや東寄りのイリノイ州の大都市で、五大湖の一つであるミシガン湖の南西岸に位置し、人口はおよそ289万人です。(全米第3位)緯度は北海道の函館とほぼ同じですが、内陸にあるため、冬と夏の気温差が激しくまた、朝晩と日中の温度差も激しい大陸性気候です。



 
 日本との時差は、-15時間。サマータイムの間(3月の第2日曜から11月の第1日曜まで)は、-14時間です。
そして、日本からの直行便で、およそ12時間のフライトです。とにかく遠いです。
 シカゴのオヘア国際空港は、乗降旅客数世界第2位の空港で、1日に約2600便もの飛行機が離着陸しているそうです。
私が到着した時も、入国審査はものすごい列でした。
空を眺めていると、次から次へ、いろんな方向から空港を目指し飛んでくる飛行機を目にします。シカゴが経済の中心であり、また全米や世界中から訪れる多数の観光客の心を惹きつける都市であることを実感します。
 今年は、5月の3週目くらいから急に観光客が街にあふれ始めました。
美術館や水族館も、カフェやレストランも人でいっぱいです。
アメリカ人はTシャツに短パンそして足元は草履かスニーカーで、闊歩しています。
今日は寒いよね?っていう日でもそんな恰好です。聞いた話によると、体温が日本人より1度程度高いらしいく、より暑さを感じるのだとか。

それでは私のシカゴレポート開始です。

2010年4月30日、主人の転勤に伴い期待と不安を胸にシカゴにやってきました。
飛行機から見たシカゴ郊外は、一軒家や工場が多いようです。


空港からダウンタウンへ向かう高速からの風景。
到着した日は、お天気も良く気温も27度くらいありました。
摩天楼が影絵のように浮かび上がっていて感動したのを覚えています。
左に見える一番高いビルがジョン・ハンコック・センターです。


 いよいよシカゴでの生活の開始ですが、家もなし、車もなし、そして家具家財道具も一切なしです。全てが最初からのスタートです。
 我が家は夫と二人暮らしのため、通勤に便利なダウンタウンのマンションに住むことに決めました。
次回は、アメリカのマンション事情と家探しの様子をレポートしたいと思います。


今日の建築物:ジョン・ハンコック・センター(John Hancock Center)



 シカゴ1の目抜き通りミシガンアベニューにそびえ立つ100階建て(343m)の超高層ビルです。この高さはシカゴでは4位、全米では5位です。
 スキッドモア・オーウィングズ・アンド・メリルの構造技術者ファズラー・カーンによって設計され、4年の歳月をかけ、1969年に完成しました。
 外部にこのビルの特徴であるX字型のフレームが見えますが、これは超高層ビルの構造をより補強し、室内の柱を極力少なくして、空間の有効活用を図るためのものです。
この方法により、鉄骨の量が3分の1に軽減されています。
 内部はショップ、レストラン、オフィス、アパートメントとして利用されています。


 私はシカゴの超高層建築の中ではこのビルが一番好きです。完成後41年も経っていますが、古さを感じさせないモダンなデザインです。95,96階にはレストランとバーがあり、お食事をしながら、そして飲みながらシカゴの摩天楼を楽しむことができます。レポートの冒頭の写真はレストランからの昼間の眺め、下の写真は、バーからの夜景です。



 シカゴは大変風の強い街ですが、その強風に耐えられるようチューブ構造(ビルの外側にフレームで筒状の構造体をつくり、全体をつるして支える)が取られています。
 私が、高層階体験をしたときには、まったく揺れは感じませんでしたが、95階(およそ300m)の窓の外側に蜘蛛が巣を作っており、どうやってきたのだろう? と、ちょっとびっくりしました。



文章 山岸 絵理  2010年7月31日