シカゴ川にかかる橋が跳ね上ったところ
シカゴレポートの第3回目は、新居への引っ越しと家具探しです。
引越しまでのまだまだ長い道のり
5月も半ばになると、シカゴにも春が訪れて観光客が街にあふれるようになってきました。私が泊まっていたホテルも大賑わいです。
マンションとの契約を結んだのは5月14日(金)、そしてマンションのゲストルームへの入居日は18日(火)、あと数日の辛抱です。
ところが、ホテルとの行き違いで宿泊延長がうまくいかず、15日(土)に追い出されてしまいました。観光シーズンに突入してしまったシカゴのホテルは、どこもいっぱいで宿泊料も上昇気味。
私たちは必死で新しいホテルを探しました。そして、今まで泊まっていたホテルのすぐ近くに空き部屋を見つけることができました。
宿泊料はかなり上がってしまいましたが、ラファエロというとってもおしゃれなホテルでした。
18日になりました。今日はゲストルームへの引っ越しです。
チェックアウトは12時で、主人がその少し前に戻ってくることになっていましたが、なかなか来ません。私はお茶を飲みながら、のんびり読書を決め込んでいました。
そしたら主人が汗だくで現れて、ホテルでボヤ騒ぎがあり、近隣の道路も車両進入禁止、エレベーターも使えなくなっているとのこと。
チェックアウトの時刻が迫る中、私たちは13階から大量の荷物を階段を使って、必死になって下ろしました。
もちろん火事なんてありません。それに部屋にいた時には、警報器の音も聞こえませんでした。
もし本当の火事だったら、私、燃えてたんじゃ・・・ビルに住むことの意味を身をもって感じました。
なんとか無事にゲストルームに入れました。ここでおよそ3週間を過ごします。
家具、生活用品探し
部屋が決まったので、これからは家具探し、生活用品探しの開始です。
インテリアショップを巡りながら私は、日本人とアメリカ人の家具や生活雑貨に対するニーズの違いを感じました。
日本人は体も小さく家も小さいので、小さくて軽快なデザインのものを好みますが、アメリカには大きくて重くて頑丈なものが多いです。
食卓一つとってみても、小さめのものでも1500×900、主流は1800×900で、さらにエクステンションして2400×900・・・。二人で持っても腰が痛くなるくらいに大きくて重いです。
そしてお値段も1500ドル。
ソファも5~6人がかけられるコーナーソファが多く、日本では主流の2人がけソファはあんまり見当たりません。3人掛けで1000ドル・・・。
ベッドは、クイーンサイズで、フレームが1000ドルから1500ドル、マットレスも1500ドル。
高い・・・全体的に予算オーバー。アメリカに移住するんだったら、買いたいですが、2年という任期が決まっている私たちには、そんなに出せません。
そして、ちょっと途方に暮れる日々。
サンクスギビングデーのためのテーブルコーディネートがしてある食卓
―Pottery Barn―
サンクスギビングデーのためのテーブルコーディネートがしてある食卓
―Crate&Barrel―
アメリカンなソファとベッド
―Crate&Barrel― 6人掛けのコーナーソファ(ソファベッド仕様)
―Room&Board―気を取り直して、食器探しをすることにしました。私は手作り感のする食器や、イッタラに代表されるような北欧食器が好きです。でも、アメリカにはそんなテイストのものはありませんでした。
早く揃えたいのに、買いたいものがない。ここでもまた壁に激突。
私は、アメリカに来る前には、日本はアメリカからの影響をあらゆる面で受けているから、同じようなものを売っていると思っていましたが、アメリカという国はアンチヨーロッパで、日本は“モノ”に関して言えば、ヨーロッパよりだったんだということを知りました。
私の住んでいるシカゴは中西部と呼ばれる地域で、アメリカらしさが最も色濃く残っている場所なんだそうです。同じアメリカでもニューヨークでは、もっと華奢なデザインのものが売られているそうです。
アメリカはなんでもセット販売
アメリカでは、なんでもセット販売です。たとえば我が家の鍋ですが、大きさや深さ違いのフライパン3つと、片手なべ3つ、パスタ用の深鍋1つ、これがセットで100ドルくらいです。
鍋を1つだけ買いたいと思うと、ばら売りをしているお店をあっちこっち探しまわらなくてはいけないし、割高です。
お皿についてもそうです。ディナープレート、サラダプレート、ボウル、マグカップの4人用セットで50ドル。1つずつ買えるものと買えないものがあります。
アメリカのほとんどの食器は陶器製です。白が全体の50%以上を占めています。
日本で見かけるノリタケやナルミのような磁器は、結婚するときに、ディナープレート、サラダプレート、ボウル、カップ&ソーサーのセットを、8人分とか10人分購入するみたいで、カップ&ソーサーだけ欲しいと思っても手に入れにくいシステムになっています。
磁器のお皿がセット販売されている様子
インテリアショップ
先に紹介した3店はアメリカの代表的なインテリアショップで、北米地域(アメリカ+カナダ)でチェーン展開されています。
アメリカのインテリアショップの特徴は、家具だけではなく、それにまつわるキッチン用品、バス用品、寝具などがお店で上手にコーディネートされて売られている点です。
そういった小物が季節によって入れ替わるので、インテリアショップはいつも人でいっぱいです。
しかも男性のお客様も多いことに驚かされます。
1)Pottery Barn・・・サンフランシスコ発のショップで、ヨーロッパ製の陶器も数多く取り扱っています。キルティングのカバーがかかっている掛け布団やクッションなどもかなりかわいいです。
2)Crate&Barrel・・・シカゴ発で、北米地域に170店舗以上を構えるインテリアショップです。無垢の木を多く使った頑丈なデザインの家具とキッチンまわりの細々とした物やしゃれた食器やデコレーショングッズを取り扱っています。家のすぐ近くにあるので、私は足しげく通っています。
3)Room&Board・・・ミネソタ発のショップで全米に11店舗あります。
商品のおよそ85%をアメリカ国内の小さな家族経営の工場で生産しています。
アメリカンなデザインから北欧風のものまで数多く取り揃え、デザイナーズ家具も取り扱っています。
次回は、救世主現ると我が家の様子についてレポートします。
今日の建築物:シカゴ川にかかる橋
シカゴのダウンタウンの地図
まずダウンタウンについて地図で説明します。
右手に見えるのがミシガン湖、ミシガン湖から流れ出ている川がシカゴ川で、北の支流、南の支流に分かれます。南の支流はミシシッピ川と合流し、最後はメキシコ湾に流れ出ます。ダウンタウンはミシガン湖と南北の支流に挟まれた地域にあります。
シカゴ川より南の地域は、シカゴ名物の高架鉄道がループの形に走っているため、ループ地区と呼ばれ、初期の摩天楼建築(約120年前~)が数多く残っており、最もシカゴらしい地域です。
また、行政、金融の中心でもあります。
シカゴ川を挟んで上部がループ地区
高架鉄道
シカゴ川より北の地域は、レポート第一回目で紹介したジョン・ハンコック・センターなどの、比較的新しい建物の多い地域で、マグニフィセント・マイルと呼ばれるミシガン通りは、両側にショップやデパートが軒を連ねるショッピングゾーンです。
私はこちら側に住んでいます。
お買い物天国ミシガン通り、秋は菊の花が満開。
シカゴ川はもともと、ミシガン湖に流れ込んでいましたが、シカゴ経済の急成長に伴い湖の水質汚染が深刻になっていました。
そこで1900年、川の向きを逆流させ(シカゴ川還流)、今ではミシガン湖から流れ出る川となっています。シカゴ川は全長251km、そして38の可動橋が架かっています。
冒頭の写真は、船が通るために橋が跳ね上がった所です。私は10月の初めに遭遇しました。冬に備えてミシガン湖に停泊させていた多くの船を引き揚げる為、ミシガン湖に近い橋から順に次々と橋が跳ね上がっていく様子は圧巻で、思わずシャッターを切りました。しかし、主要な道路は通行止めになってしまうので、橋が戻るまで30分程度、辛抱強く待たなくてはなりませんでした。
ミシガン・アベニューに架かる橋。真ん中に継ぎ目が見える。
文章:山岸絵理 2010年11月6日